「同情」
ふとした時に君は涙を流す
ご飯を食べている時 テレビを見ている時 散歩している時 窓辺で日向ぼっこしている時
なんの前触れもなく君は涙を流す
表情を変えず静かに泣く日もあれば 息もままならないほど激しく泣く日もあった
君は涙の理由を教えてはくれない
君のそばに居る権利をようやく手に入れたのに 君の内側を見ることは許されない
泣いてる君を慰めようと近づくと 君は怯えて 震えて より一層酷く泣いてしまう
だから 毛布とタオルと暖かい飲み物を君のそばに置いて 君から離れる
別の部屋に行って君が落ち着くのを待つ
君の過去を詮索する事はしない 君の心を暴くような事もしない
君を知らないまま 日々を過ごす事は何も問題にはならない
君にとって 同情されるという事が 何よりも恐ろしい事なんだろう
君の辛さを感じる事はできない 君の苦痛を見たいとも思わない 求めるのは平穏で穏やかな君の笑顔だけだから
いつの間にか泣き声が聞こえなくなった
部屋に戻ると 君は毛布にくるまったまま泣き疲れて眠っていた
起こさないようにそっと腕を入れて抱き上げベッドへ運ぶ
涙の跡を指で拭って君の瞼にかかる前髪をはらう
君の過去がどうであれ 君に同情なんかしないさ 君が強いことを知っているからね
今はただ 君がここにいる事だけで充分なんだ
明日の朝のフレンチトーストとか 来週公開の映画とか
君と見る未来の方がずっとずっと尊いんだ
だから今はゆっくりおやすみ
明日のフレンチトーストのためにね
2/20/2026, 1:35:18 PM