川柳えむ

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 山の中腹から見下ろす夜の街は明かりがきらきらと輝いて、まるで闇色の絨毯に零したたくさんの宝石か、あの高い空にある無数の星々のようだった。
 そこから空に向かって、大きな音と共に、色とりどりの花が咲き乱れる。
 こんな素敵な場所があったなんて、知らなかった。
 ここへは花火がよく見える場所を探してやって来た。穴場だった。
 小高い山の夜は少しだけ肌寒い。そう思っていると、彼がそっと背後から包み込んでくれた。
 きっと、輝く宝石を見かけるたびに、夜空に広がる星を見るたびに、夏が来て空に打ち上がる花火を見上げるたびに。私はこの温もりと、今日見た街の明かりを思い出すのだろう。


『街の明かり』

7/9/2023, 5:43:53 AM