「必ず迎えに行くからね」
そう言って涙を流しながら
あたしを抱きしめてくれた
彼女の顔が今でも頭から離れない
男手ひとつであたしたちを育ててくれた
お父さんが事故で亡くなった
まだ幼くて頼る大人もいなかった
世間知らずのあたしたちにできることは
かぎられていて
あたしたちは離れ離れになった
一日中働いて酷いこともたくさんあった
でも悲しいことがあった日は楽しかった頃を
思い出すと元気が湧いてくる
彼女の笑顔 彼女の眼差し
彼女の匂い 彼女の温もり
お金をためてここを出て彼女を探しに行くんだ
それがあたしの唯一の希望だから
お題「たった1つの希望」
3/2/2024, 4:48:46 PM