natsu

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夢を見る。夢を見るのだ。眼鏡を外して、髪色も明るくて、全く着たことのないひらひらな服に目を包んで、外に飛び出していく自分の姿。ああ、あれは。きっともうひとりの私なのだろう。一度や二度であれば空想の延長線かとも思ったが、こうも何度も見てはそう思わざるを得なかった。もうひとりの私。もうひとつの人生。もうひとつの物語。今日もその夢の中、背中を見るばかりだった“私”が私に振り返る。

「あなたは、私?」

私は笑った。どんなふうに笑えていたかは、それこそ“私”だけが知っていた。


/もう一つの物語

10/29/2022, 4:53:37 PM