学校を早退したあの日を思うと心がモヤモヤする。
なんであんなに罪悪感と違和感を覚えたんだっけ?
なんであんなに悲しかったんだっけ?
とても……とても大事な何かを忘れてしまったような気もするけど、それがわからない。
……忘れてしまったってことは、そんなに重要でもなかったってことかなあ。
そう思っていると別のクラスの男子から呼び出されて手紙を渡された。
周りにいた女子も男子も、まさかラブレター!? と色めき立って私と手紙の男子に注目する。
彼は全く緊張の素振りも見せずに自然体な感じで明るく言った。
「覚えてないかもしれないから一応言っとくね。
僕は黒渕 空。この手紙を今日君に……藍沢 紫音さんに渡すよう、君から頼まれたんだ」
「……え? 私が頼んだの? この手紙を?」
「うん。じゃあ確かに渡したから」
黒渕くんは周りの注目を浴びながら帰っていき、私は視線を感じながら封筒を開けて手紙を確認する。
『私から私へ。
黒渕くんからちゃんと受け取ったね?
疑問がなければそれでよし。
全くわけがわからないなら、思い出して。
忘れてしまってもどうにかして思い出して。
そして、絶対に忘れないで』
……確かに私の字だけど、なんでこんなものを書いたのか、何を思い出せば良いのか、さっぱりわからない。
なんで過去の自分は主語を書かなかったのかなあ?
……というか書いた覚えもないし、わかんないことだらけだ……
よし、学校終わったら何か甘いものを一人でヤケ食いしよう!
どこへ行こうかな……まあ、適当でいいかぁ。
4/23/2025, 1:55:16 PM