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「何気ないふり」

 私の位置とは反対側に視線を移して、何気ないふりで君は私の手を握った。君の手は思っていたよりも暖かくて、思わず君の方を見てしまいそうになる。でも必死にそれを抑えて、私も君とは反対の方向を見て何気ないふりをしながらゆっくり君の手を握り返した。少しでも反応してしまったら君がこの手を離してしまうんじゃないかと思って。
 恥ずかしがり屋で勇気のなかなか出ない二人は、今日も目を逸らし何気ないふりを装いながら距離を縮めていく。
 全身が熱いのを感じながら、ずっとこのままでいれたらと思った。

3/30/2026, 1:59:59 PM