夏の雨

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僕には会いたい人がいる。その人にお礼が言いたい。
でもそれは叶わない。だって__

15年前。
「やば…迷子になっちゃった…」
僕は森の中で迷子になってしまった。
しかももう夜になる。
「…」
ずっと歩いているせいで…疲れた……だ……め…
「しっかりしろ!…連れて帰るか…」


「……ん…」
目が覚めると知らない場所にいた。
「あ、起きたか?」
「え?あ…うん…。えっと、ここは?」
「ここは俺の家だ。」
見渡すと少しばかり質素な家具が数個置いてある。
そして助けてくれた人を見ると、仮面で顔を隠してた黒髪の同い年くらい好青年だった。
「あの、ありが」
「……じゃあ、返すね。」
お礼を言おうとした途端、青年が遮ってにこっと口角を上げる。
「バイバイ」
「え、ちょっと待って!名前…」
シュンッ

気づくと迷子になる前にいた街にいる。
「…?あの青年は………」

これ以来森に行っても青年と家はなかった。


「いつかお礼が出来たらいいのになぁ…」
この思いは青年に届かないようだ。



「…ありがとう。」
#届かぬ思い

森の好青年は人間ではない設定です。多分魔法が使えます()
最後のありがとうは、魔法を使ってその子を見ていたということでございます。

4/15/2023, 10:39:25 AM