違和感を感じたのは、その週の頭だった。
空が変だ。
具体的な「何か」は分からないが、
それでも「何か」が変。
見続けると頭がおかしくなりそうな、青色の空だ。
知人は何も感じていないらしい。
それどころか、「以前より空を見上げるようになった」と言う。
こんな不気味な空を、よくもまぁ。
異常に気づいたのは、その次の日だった。
街に出ると、半数以上の人間が空を見上げている。
まるで空に映画が上映されているかのように、周りの視線が青空に吸い込まれている。
空を見上げるも、当然そこには何も無い。
ただ、不気味な青色の空だ。
世界の終わりかと思った。
その一週間後、大空に目玉が浮かんでいた。
じっとこちらを見下ろす、神の目のようだ。
ベランダから街を見下ろすと、ほぼ全員が空を見上げている。瞬きもせず、空の目を見つめ返している。
今日の空は夕焼けを煮詰めたような赤色だ。
俺はすぐに家に入り、カーテンを閉じた。
その次の日、何も無かったかのように一日がやってきた。空は元に戻り、街の人間もスマホに目線が釘付けになっている。
おかしな点といえば、知人が減ったことだろうか。
どうやら俺は二週間ほど、誰とも会話しなかったらしい。
一昨日に空について会話した知人がいたような気がしたが…今は顔も名前も思い出せない。
12/22/2024, 8:20:58 AM