かおる

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やるせない気持ち

小学校の頃
同じクラスの女の子で
病気をして皮膚がただれていた子がいた
そしてその病気のせいなのか
あまり声を発する子でもなかった

僕たち男子は、その子とあまり話したことはない

だけど女子は、その子と仲が良かった
彼女を囲んで楽しげに話していた

修学旅行が近くなり
男女とも宿泊先は大部屋だと分かり
みんな楽しみにしていた

修学旅行当日
観光地を巡りワイワイ話ながら
楽しんでいた
ふと女子に目をやると
病気をしているその子の歩くペースに合わせて
他の女子も歩いていた

宿泊先に戻り、食事や風呂を済ませ
各自部屋でまたワイワイ騒いでいた
そこで僕はひらめいた
女子の部屋に忍び込んで驚かせようと
友達何人かを誘った

音を立てないようにそっと
障子を少しだけ開けた

するとそこには正座をさせられた
病気の彼女を中心に
クラスの女子がぐるっと円を描くように
囲んでいた

彼女は泣いていた
みんなは「何泣いてんのよブタが!」
「そうよ醜いブタが!」
「アハハ、やだ気持ち悪い」
と罵声を浴びせていた

そしていつもなら一番に仲良くしていた子が
「ねえみんな知ってた、こいつカツラつけてるのよ」
そう言って彼女の頭を掴みカツラを剥ぎ取った
みんなは「うわー」と驚きを隠しきれてない
そしてカツラを手にしていた子がさらに
ライターを取り出した
「燃やしちゃおうかなー」
炙るまねをしながら
ふざけた感じで言っている
回りも囃し立てる


僕らは見てはいけないものを見てしまった 
そっと障子を閉め部屋に戻った
そして彼女のことを考えると
やるせない気持ちでいっぱいになった





8/24/2024, 12:34:21 PM