三羽ゆうが

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いつもの帰り道、軽トラ1台すら滅多に通らない田舎道をのんびり2人で走る。

「今日のテストどーやった」

「ふつう」

「普通かー。お前の普通は60点くらいか」

「お前がアホすぎ」

「そんな事ないし」

キャッキャと騒ぐわけでも無言なわけでもなく、のんびり2人のペースでキャッチボールが交わされていく。その日も特に特別な会話はなく、宿題の愚痴が交わされていくだけ。

「……そーいや大学どーすんの」

「行く予定」

「ふーん」

「お前は?」

「就職」

「あっそ」

進路の話を全くしてこなかったと言えば嘘になる。かと言って相手の行く先が全く興味無いかと言えばそれも嘘になる。小学校からずっと一緒だったのだ。少し不思議な間がうまれる。

「……どこの大学行くん」

「県外。そのまま就職するからもう会わへんかもな」

「……ふーん」

「何、寂しいん」

「んな訳あるか。じゃ、また明日な」

「おう。……ちょっと待って、これ」

「何」

あい、とぶっきらぼうに差し出されたのは数枚の紙切れ。紙いっぱいに色んなイラストが書かれている。

「お前の目にも届くくらい有名なイラストレーターになるから見とけ」

「……じゃあいつか俺が会社建てたらロゴ書いて」

「任せろ。約束な」

「約束」

軽くグーパンを交わして、互いの家に帰っていく。明日の帰り道も楽しみにしながら互いの夢に思いを馳せた。


『自転車に乗って』

8/14/2024, 10:55:19 AM