アルベルト幸薄

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皆さんには希望がありますか?それは生きがいだったり、頑張る気力になったり、この生きづらい世の中では必要不可欠なもの。あるとないとでは大きな差になると思います。そんな私もつい最近希望と言えるものができました。それまでの人生は自堕落でとりあえず今を生きているそんな生活をしていました。学生時代は同級生からいじめられ、傷が癒える前に新たな傷を作っている日々でした。そして日を増すごとにできているアザは必ず目に入っているはずなのに親は無視。家での私はいてもいなくても変わらないそこら辺の雑草と変わらない対応を親から受けていました。なのでご飯も自分で作っていました。親が作ったご飯は小学生の頃が最後だった気がします。無視されている理由は中学生の頃から何と無く察しがついていました。私には兄がおり、兄は成績優秀でした。それに比べ私は勉強が大の苦手でした。小学生までは特に問題はなくそれまでは兄と同じように等しく親から愛情を受けていました。ですが中学生からは格段と難易度が上がったように感じ、そこから勉強についていけず、親からは無視される日々が始まりました。親から無視をされ始めると兄とも次第に会話が減っていき、私が高校生に上がってからは、とうとう喋ることすらなくなりました。就職してからは一人暮らしをしました。最後に家を出ていく時、両親の表情はどことなく笑みが混じっているように見えました。家を出ていくときですら兄とは会話を交わしませんでした。就職した企業はというと、そこはいわゆるブラック企業というやつでした。長時間労働はプライベートの時間が削られるのでもちろんいやでしたが、一番嫌なのは上司からのパワハラです。毎日毎日罵声を浴びせられ人前で泣いてしまうこともしばしばありました。まさに生き地獄のようなある日、自宅の近場にペットショップができました。ある日、久々に早く帰宅ができたので気晴らしに入ってみることにしました。するとそこは楽園でした。一瞬自分の死を疑ってしまうほど別世界のように幸せが詰まっている空間でした。それからというもの仕事帰りにペットショップに寄るのが日課になっていました。そんなに動物が好きならさっさと飼ってしまえばいいじゃないかなんて思うかも知れないが私の家はアパートでペットの飼育が禁止されています。なので買うわけにはいかないのです。ですがある時私見つけてしまいました。本当に些細なことではあるが奇跡だと思いました。私の誕生日は2月6日なのですが、ペットショップの犬のコーナーにいた純白のその子の誕生日は6月2日だったのです。私の誕生日の数字を反対にしたものがこの子の誕生日だった。そんな些細な奇跡が私の罪の意識を払い除けついにその子を飼う決断を下しました。その子が家に来てからは世界が一変。上司の罵声も、長時間労働も、家族問題でさえも苦にならなくなりました。その子が私の憂鬱を跳ね除けてくれた。そして希望をもたらしてくれた。

今日も遅くなってしまった。あの子がうちに待っているのに。早く帰らないとな。急いで家に帰る。もう1時か。そう言いながらドアの鍵を開ける。異変に気づく。鍵が空いていたのだ。出かける前たしかに鍵は閉めたはずだ。なのに空いているのはおかしい。恐る恐るドアを開ける。ドアが開けば開くほどに私の鼓動は速まった。完全にドアを開けきるとそこには大家の姿が見えた。

3/3/2024, 9:49:09 AM