「暑いねぇ」
「暑いですねぇ」
仕事帰りにデートがてら夕飯の買い物に出掛けていた。
本当は彼女と手を繋ぎたいし、くっつきたい気持ちはあるけれど、この暑さじゃ無理。
彼女にも迷惑だ。
彼女は嫌がるとは思わないけれど、さすがにね。この暑さでくっつかれたらシンドイでしょ。
ふと足元を見ていると、普段青々としている夏草がくすんだ色でグッタリしていた。
俺の視線が気になったのか、彼女も同じ草に目線を向けた。
「この暑さで枯れてるね」
「この暑さですからねぇ……」
自然の暑さとは言え、草木も枯れる暑さなんだから俺たちも気をつけなきゃね。
「早く帰って涼みましょう」
「大賛成!」
ふたりで視線を合わせてから、車へ足早に歩いていった。
おわり
四六九、夏草
8/28/2025, 11:58:59 AM