お題《未来の記憶》
菫色の瞳は静かに水面を揺らす
それは合図
森の海の向こうに閉ざされた国
永遠の死を告げる死神蝶
邂逅の果てに蘇る
死季が始まり
国は永遠となる
その国は世界を揺るがす厄災となるだろう
先見の少年は《紫季》と名乗り
明日
明後日
遠い遠い先の果て
――あなたの命日も視ることができるという
しかしそれは同時に失うことを意味する
大切な者の、大切な記憶を
紫季は思う
望まれ先見をし
望まぬ真実を識った愚者たちは
彼を《紫の悪魔》だと罵る
この瞳は呪いの根源であり
相手にとっては必然
自分にとっては――――《贖い》であると
命の音がしない冬の森で
ひとり聴く悪夢は
永遠に紡がれる罪の象徴であるのだと
2/12/2025, 12:54:49 PM