文月。

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「夢が醒める前に」
よく見る夢がある。
自分が住んでいるマンションの、一番高い、6階から身を投げる夢。
私の住んでいるマンションは屋上が誰かのベランダになっていて、現実でも入ったことがない。
おそらく、だからマンション内では自分が行ったことのある最上階の6階から身を投げるのだろう。
身を投げる夢はよく見るのだが、それぞれ状況が違う。
例えば、まるで誰かから追われているように、焦って飛び降りる夢。
実際に誰かから追われていて、身を投げる事を阻止されて飛び降りることができないこともあった。
はたまた、泣きながら柵の上に乗って、力が抜けたように地面へと落ちていく夢。
誰かに誘われて柵に手を掛け、私だけがその外に落ちてしまう夢。
そんな夢でも、地面についた後、絶対に誰かから言われる言葉がある。
でも、なんと言っているのか、起きた後に覚えていないのだ。
同じことを、同じ人に言われ続けている。
一体私は、なんと声を掛けられているのだろうか。
現実への忠告だろうか。
それとも、生きていたことへの労いの言葉だろうか。
覚えていない。ただ、言葉を掛けてもらった後、すぐに私は目を覚ます。
地面に落ちた後だから相手の顔を確認する力もないし、そもそも誰の声かも現実では覚えていない。
覚えていないのだ。
ただ、夢が醒める前に。
きっとこれからも、私はあの言葉を聞くことになる。
「         」

3/20/2024, 10:49:09 AM