先日彼女と花火を観に行った
生きる糧としていたそれは
始まってみれば実に寂しいものだった
夜空に打ち上がる光の花の一つ一つが
刻々と近づく終わりを知らせるようで
誤魔化すように綺麗とはしゃぐ心地だった
その帰り道君、と結婚願望の話になった
僕は君が貸してくれた冷風機を首に当てながら
「する気がまるで起きない」と呑気に言った
君は僕の答えに一笑すると
「私はいつかできたらそれでいいな」と笑った
その時僕は痛いほど知った
花火大会と同じようにこの瞬間も
いつか来る終わりに向かっているのだと
ずっと隣にいようよ
おばあちゃんになっても側に居てよ
そんな稚拙な言葉は胸の奥に閉じ込めた
幸せは苦しい、と思った
こんな僕に居場所なんてないような気がした
8/7/2023, 4:30:22 PM