「チョコと、クッキーだったら…ど、どっちが…好き?」
彼女はおどおどしながら聞いてきた。
「いちごのチョコが好きかな。でもクッキーもまあまあ好きかな」
「そう…、わかった」
あまり他人と馴れ馴れしくしない、俺にだけ打ち解けてくれる、気の強い女性を頑張ってよそおってる俺の幼馴染。そんな彼女何こんな質問をしてくるのは初めてだ。いつもはこの時期になると、誰かさんが俺のバックに勝手にクッキーを入れてくるのだが、何があったのだろう。
今日は毎年バックにクッキーが入っている日である。
放課後、帰る準備を終えてぼーっとしていると、
「き…来て…」
彼女が急に話しかけてきて、俺の腕を引っ張った。
そのまま学校の敷地の端っこにある小さな倉庫まで連れて行かれた。
「なんでこんなとこまで来るの?」
「…」
ここに来るまで彼女は、一言も口にせず、俺と目を合わせようとしない。
ずっとモジモジしている。
すると、彼女がポケットから小袋を取り出した。
「何?それ」
その瞬間、俺は彼女に力一杯押されて、倉庫の壁に押し付けられた。
彼女はひじを倉庫の壁につけてバランスをとった。
俺は彼女にひじで壁ドンされている構図になった。
「なんだよ。どうしちゃったんだよ」
彼女は小袋から一口サイズのピンク色のチョコを取り出した。
「た…食べて…」
彼女はチョコを俺の口に差し出した。
彼女は何をテンパっているのか、俺にあーんしようとしている。仕方ないな。
小刻みに震えているチョコに噛みついた。
その時、俺の唇が彼女の指に触れてしまった。
「あっ!…」
彼女はバッと顔を上げて、少し後ろに下がった。
よく見ると髪に隠れた耳が真っ赤だった。
「悪い、あたっちゃった」
彼女は無言でまた近づいてきた。
「…次は…クッキー…食べて…」
またあーんしてきた。
次はチョコより大きいクッキーなので何も心配しないで食べれると思った。
だが、彼女はクッキーの半分より少し奥のところでクッキーをつまんでいた。
結局また指と唇があたった。彼女はわざと俺の唇に指をあてたように感じた。
「私も…食べる…」
彼女はなぜか袋からチョコを取り出し、口に運んだ。
口に運ぶと指を自分の唇に当てながら食べた。
「関節キス…かな?」
口を手で隠し、幸せそうに笑い、ボソッと言った。
「どうかした?」
彼女は一瞬で表情を変え、激しく首を横に振った。
全てのチョコとクッキーを食べ終わった。それなのに彼女は俺の前をどかない。
「何か言いたい事でもあるの?」
「…」
その時、彼女が急に俺の胸に顔をつけた。
「覚悟はしてきたつもりなのに、怖いよ…」
涙声で彼女は言った。
俺は片腕を腰に回し、体を引き寄せ、もう片方で頭を撫でてやった。
どれくらい経っただろう。
倉庫に来た時は空はまだ青かったのに、今はもう薄暗くなっている。
彼女はずっと俺の胸で泣きながら、再び覚悟を固めていた。
俺は、そんな彼女をずっと撫でていた。
しばらくすると、彼女は顔を上げた。
俺は両腕を彼女から離した。
彼女は深い深呼吸をしてから口を開いた。
「好き!、あなたのことが好き!付き合ってください!」
泣いて赤くなった、しかし硬い決意のある目でそう言った。
俺は左手を前に出した。
彼女は不思議そうに俺の手をとった。
俺はしっかりと彼女の手を握り返し、引き寄せて、抱きついた。
「俺も大好きだよ。チョコとクッキー美味しかったよ」
彼女は再び泣き出した。
そんな彼女に俺は口づけをした。
彼女は俺を強く抱きしめていた。
これが甘酸っぱいということなのだろうか…
ラブコメ考える時、自分で考えて、自分で尊死してしまう。
2/14/2024, 11:06:02 PM