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友人二人と大きな虹を見た。中学校の帰り道だった。
その七色は大きな弧を描いて雑木林の中へと降りていた。
「虹の始まりを見に行こう!」
そう言ったのは私だった。
友人二人の反応は覚えていないけれど、三人猛ダッシュで自転車を漕ぎ出したので、何となく想像はできる。
空は灰色、湿った地面と、廃れかけの地元を駆け抜けた。
結論から言うと、虹の始まりは見えなかった。
手を伸ばせば届きそうなほど近くまで行けたのに、虹は地面から1〜2mは透明だった。
「なんだ、見えないね」
そして私達はあっさりと帰って行った。
きっと虹の始まりが地面から生えてるとか突き刺さってるとか、そんなことはどうでも良かったんだろうな。
知りたいことを知るために、友人達と全力で駆け抜けた思い出が見えない虹の先っぽに続いている。

2/22/2025, 11:22:00 AM