"降り積もる想い"
ある晩、降り頻る雪を窓の外から眺めていた。
便箋の前に座って手にペンを持ち、先程まで頭の中で言葉が埋め尽くされていた
顔を上げると雪が風に踊らされて降り積もっており、練り上げていた言葉を全て頭が放り投げてしまった
ぼーっと雪を眺めていると
そんなに早く降らないで、待って欲しい。
もどかしい、もっと速く降って欲しい。
という対極の気持ちが育っていって、頭の中がぐるぐると蠢く。
狂ってしまいそうだったので目を逸らす。
さて、なんだったか。
頬杖を突いて今一度言葉を紡ごうとする。
けれど自らの心で降り積もった気持ちを、言葉にするというのは難しいもので、ペン先が紙に近づいたり、離れたり。
迷って、その場で足踏みをして
自らの情けなさに段々と恥ずかしくなってきて、遂にぎゅっと目を瞑る。
雪が降る音だけに耳を澄ませた後、ゆっくりと目を開いて紙の上でペンを踊らせた。
『拝啓 私の友人であるあなた
突然の言葉をお許しください。
あなたは人一倍頑張り屋さんで、思い悩む事も多いと思いますがそれこそあなたの良いところ。
私はいつでもここにいます。
あなたが辛くなってしまえばいつでも私のところへ。
何も言えなくていい、ただそこにいて欲しいのならば喜んで。
辛くなるというのは悪いことでもありません。
「みんなちがって、みんないい。」という言葉を残した方は、自ら命を絶たれています。
後世に残せる言葉を紡いだ方でさえ、出来なかったのですから、我々一般人に出来ようもありません。
人はどこかしらおかしいのです。全ての人が「あの人は素晴らしい」と褒め称えるのならば、全ての人が嘘をついているか、姿を偽っているかでしょう。
完璧でいられるはずもありません、それほど難しいことなのです。
突然いなくなったあなたに私は驚愕いたしました。本当に
あなたにまた会える日を、私は待ち侘びております。
どうかご自愛くださいますよう、お願い申し上げます。
敬具 あなたの友人』
12/21/2025, 3:28:58 PM