「冬『は』、なの?」「あっ、いや、その......冬だけじゃなくて......」僕が先刻こぼした、冬は一緒にいようよ、という言葉。その小さな綾を慌てて直そうとする僕の唇に、君のひんやりと冷たい人差し指がそっと添えられた。僕の瞳を見つめ、君はゆっくりと首を振る。「貴方のくれたザクロなら、わたし、丸々ひとつ食べてもかまわないわ」目の前の乙女はそう言って少しはにかみ、その小さな顔を陽春のようにほころばせた。【 冬は一緒に⠀】
12/18/2024, 10:39:42 AM