小雪

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私は誰かの遠い日の記憶を見るのが好きだ。
「高谷涼音」という女性の記憶を今日は読んだ。
とても健康で、幸せそうで裕福な家庭を持っていた。
最期は娘、孫、に看取られ老死をしていた。
こういう人を100万回は見た。
でも私がこれを読み始めてから戦争で亡くなった人。栄養失調で亡くなった人。は後を絶たない。
10億人は見た。とても、人間界は位が別れているのだろうか。まぁ私には関係の無い話だ。
私は1000億年間この誰かの遠い日の記憶を読むのが仕事だ。人間の記憶を忘れられないように管理するのだ。私の仕事の正式名称は「記憶の管理人」まぁ、そのまんまの名前だ。今は156億年目だ。人間界には「飽きた」という感情があるらしいが、私には無い。
でも人間界の感情を知るのはおもしろい。
知らない異世界の話を読んでいるようで。

「古代記憶の管理人」の遠い日の記憶。

7/18/2024, 8:29:33 AM