名無しさん

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キラキラとした物が昔から好きだった
それは、屋台で見かける綺麗な照明だったり、夜の街並みだったり
もしくは、駄菓子屋さんで売ってたりする、光るおもちゃ
そんなキラキラと輝くものが好きになったのは、とある出来事のせいだったりする

とあるお祭りの日、私は迷子になった
五つにも満たない歳で、心細かったのだろう
しきりに、おとうさん、おかあさん、と言って泣いていた
宛もなく泣きながら歩いていると、どこか知らない森の中にでも迷い込んでしまったらしい
ちょうど祭りのやる場所は、山の中にある少し大きな神社
道をそれてしまえば、人はおらずけもの道しか存在しない
子供心に危ないと感じた私は、回れ右をして光る方に走り出した
そこがお祭りの場所だと信じて、必死に走った
あかりが近づくにつれて、人の話し声がする
大人の人だ、そう思った瞬間
どん、と人にぶつかる感覚がして、跳ね返されたように後ろに尻もちをつく
いつも間にか、私は両親の元へと帰ってきたらしい
先程まで遠くの人影であったはずの両親が、こんなに近くにいる
その安心感から、また泣き出してしまった

その後、お母さんにどうしてひとりで行ったのかと怒られてしまったが、森の方に行ったと言うと、危ないでしょ、とまた怒られた
その日は人が入らないようにと、テープが貼ってあったはずなのに
そう言って怒るお母さんには言えなかったが、私が通った場所にはテープなんてものは無かった
注意喚起のため、黄色いテープを端っこに貼っていたらしいが、そんなものを見れば気がつくはずだ
少し不思議な話だが、その時の灯りが今でも忘れられない
ここら辺の人には珍しく、ちゃんと着物を着ていて
簪も付けて綺麗に着飾っていたのは覚えている
顔はぼやけていたが、手に持っていたのは
……そうそう、和風のランタンみたいな
真っ赤な提灯

お題『記憶のランタン』

11/18/2025, 1:31:18 PM