【君の目を見つめると】
「正直言うてみ?押してもうたんやろ?」
「···やってない」
俺の目の前に座る女は、少し躊躇いながらも伏し目がちにそう答えた。
「裏で上手いことごまかそうとしたんやろうけど、証拠は上がってもうてる。衝動的か計画的かは知らんけど、どちらにしろ結果は同じ。勝手に押されたわけやないんやから。白状しーや。」
「···違う」
何度問いかけても女は顔を上げることなく、否認の言葉を述べるばかりだった。
「分かった。じゃあこれが最後や。俺の目を見てもう一度言ってくれ。やったやんな?」
少しの沈黙が流れたあと女は少しずつ顔を上げ、俺の顔を見ながら再び否定の言葉を述べた。男は気付いていた。目を合わせているようで、全く合っていないことに。目は口ほどに物を言うと言うが、その通りだ。そのまま女の目を見つめるが、やはり目は泳ぎっぱなしだった。女の往生際の悪さに、思わず笑みが溢れる。自白を目的とした尋問だったがそれは叶わないことを悟り、作戦を変更することにした。
「そうか。じゃあこれはなんや!!」
女の目の前に突きつけられたのは、パソコンだった。そして画面には、100,000という文字列とパールのネックレスの画像が表示されていた。
「動かぬ証拠や!購入履歴にあって驚愕したわ!こんなネックレスなんか買うのお前しかおらん!」
「あぁぁぁごめぇぇぇぇん!どうしても欲しかったんですぅぅぅ」
「ええ加減にせぇよほんま。先月もなんかたっかい買い物しとったよなぁ?」
「あ、バレてた?」
「バレるに決まってるやろ!!ほんまに···。次はないからな」
「···すみませんでした」
4/6/2026, 2:51:21 PM