すんなりネタが出てきません
書けそうな気がするのに……
後日何かしら上げるかもです
→書いてみました
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【はなればなれ】
はなればなれになってもまだ友だちでいられるなんて、小学生のわたしにはそんなふうには思えなくて、引っ越したら連絡なんか全然取らなくなっちゃって。
それなのに、高校に入学したら君の名前があった。同姓同名の別人かと思えば、印象的な目元のほくろが間違いなく君だった。
「あたしのこと覚えてる?」
大人っぽくなった君が笑う。もちろんだとも。
「覚えてるよー。あの時のにゃんこ元気?」
「元気元気。でも獣医さんにダイエットした方が良いって言われちゃった」
同じ部活に入れるといいね。なんてどちらが言い出したのか。
年の離れた弟が生まれたという君は「調理部なんていいな」と笑う。
「調理実習のクッキーとか、弟に持って帰ったら喜んでたし」
「手作りおやつかー、確かに喜ぶだろうね」
そんなことを言いながら、わたしの脳裏に浮かんだひとつの野望。
調理部に入れば多少は料理ができるようになるだろう。お菓子作りもするだろう。君が大好きなガトーショコラも作れるようになるはずだ。
君の次の誕生日……はちょっとまだ無理かもしれないけど。来年のバレンタインには、うんと美味しい手作りのガトーショコラをプレゼントしたい。しっとりしてほろ苦くて、甘すぎない君の好みに合うものを。綺麗に粉砂糖をふって。ちゃんと箱に入れて。
「一緒に調理部入ろうよ」
「そうしよう」
それからわたしたちは離れていた数年間を取り戻すみたいにべったりくっついて仲良く過ごした。
ただ、わたしが彼女にプレゼントするよりも、彼女がわたしの誕生日にチーズケーキを焼いてくれる方が早くて。
先を越されたみたいで、ちょっと悔しかったから、何でもない日にお弁当を作って行ったら、すごく驚かれて。
「君は負けず嫌いだなぁ。それに、あたしのこと大好きだよね」
なんて言われて。
再会した時の世界がまるで色を取り戻したみたいな感覚を覚えていたわたしは、ただ黙って赤面した。
11/16/2024, 12:18:49 PM