月見茶

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【人は過去を今から知り、未来を今から予測する】

もしも今、未来をみれるなら。
そう願わずにはいられない。
この世界はもう終わりだ。
だったら、遠い未来に自然に還ったこの世界を見てみたいと願うのはおかしくないだろう。
娘は初めて見る都市の外と、人口植物では無い荒れ果てた大地にか細く残る自然に目を輝かせている。
子供のその澄んだ心は、現実を突きつけながらも夢を見させてくれる。

娘の手を離し、乗組員へと任せる。
私も共に行けたらと思わずにはいられないが、それは高望みというものだろう。
せめて娘には、私の様な男よりもいい人間と結ばれて欲しいと願う。

私の他にも、子を見送る親がいる。
だが、それも数える程だ。
この船に乗れるのは、政府の高官などといった上流階級だ。
子供が乗れるのは、次世代の世話係の繋ぎ。
そうと分かっていても、このままこの世界にいるよりも長く生きれるのだから。
時間が許す限り、娘が乗る船を見送る。


⸺今、未来を知っていたなら。
私は娘を船へ乗せなかった。
出立して数時間後、船を建造出来なかった国の攻撃により撃ち落とされた事を知っていたのなら。

4/20/2026, 1:26:45 AM