懐炉 @_attakairo

Open App

 …………ちょっと、ちょっとちょっと、

 ちょっと何してんの!!

「あんた何して、ばっ危な! はやく離れて!」

「観測中だ」

「ライン超えてんだろお!!」





「も〜〜ほんとやめてよ……」
「観測中だと言った筈だ」

 だから安全距離超えてるんだってば。その毛先が触れたらどうなるかわかってます、ちょっぴり焦げちゃった! なんかで絶対済まないって。
「あれは熱を発しない」
「そういうことじゃないんだなぁ」
「あれが何か知っているのか」
「いや……知りませんけど」

 あんまり詳しくは。てか、アレ何?

「触ったらビッグバンが起きるとか……説明されて、質問も許されないまま終わったし」

 はぁ、でも何も起きなくて、ひとまずは良かった。

「…………」
「……あー、あの、もしかして、ここで研究してる人?
だったら邪魔して悪いけど……」
「君がこの空間に居ることに驚いた」

 襟元のピンを見るに、第一の扉も開けられない等級では。

「…………」
「そして未だに此処に居る。興味深い現象だ」
「人を現象扱いしないでもらえます?」

 ……ちゃんと許可は貰ってますから。
 無事に此処から出られた後にね。

「成程」
 観測の時を待っている訳だ。
「そうであれば僕にも、予測は出来ていたのだろうね」
「はぁ! ご自身の長年の経験と、勘ってヤツですか。
そりゃスゴい」
「いいや違う」

 僕が信じているのは波だ。



 ……アレが、波? 俺には立方体に見えるけど。

 近付いてみるといい。微かに波紋がある……


「…………」
「…………」
「本当だ。なんか動いてる」
「だろう」
 日々、観察を怠らずして此処まで来た。

「この地味な作業を、まだ続けるおつもりで?」
「無論」
 何故なら全てを捧げているから。

 解明の時を待たずとも。

「それを無謀って言うんじゃないの」
「では一度振ってみようか」

 …………ちょっと、ちょっとちょっと、

【祈りを捧げて】

12/25/2025, 1:49:17 PM