文字と時期のせいか、梅雨の時期になると祖母の梅干しが食べたくなる。
酸っぱいものが苦手な私のために蜂蜜で漬けたものを毎年用意してくれていて、我が家の梅干しといえばこれだった。祖母が大量の梅のヘタを爪楊枝でちまちま取ったり、大きめの瓶に梅と塩と蜂蜜を入れる作業を横でボーッと眺めてはいたのだが、肝心の分量の方は全く覚えていなかった。いやまぁ、祖母のような料理の熟練者ともなると目分量なのだろうから覚えるというのも無理な話か。でもなんか梅や塩の重さを測っていたような……?
いけない。思い出したら猛烈に食べたくなってきた。
「作り方聞いときゃよかった……」
残念に思うあまり声が漏れ出してしまった。たまに市販の蜂蜜漬けの梅干しを買って食べてみるがやはりどうも祖母の物とは違う。
経験はなくとも、現代ではありがたい事にちょっと調べれば知恵がいくらでも出てくる。自分で漬けて好みの味を探求しても良いかもしれない。どうせならうんと甘くしたい。なんとオリーブオイル漬けという物もあるらしい。
美味しくできたら私も祖母のように毎年漬けよう。そうしたらこの鬱陶しい程に湿度の高い梅雨の時期もいくらか楽しく過ごせそうだ。
6/2/2024, 1:25:41 AM