風雪 武士

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花束

「星野さん、退職するんだって!しかも寿退社!」
僕はその一報を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
彼女と僕は同じ会社の同期だ。
星野さんの優しい笑顔に、気がつけば心が奪われていた。
彼女の心を射止めようと色々と努力したが、彼氏の存在に愕然とした。
二人の破局を待っていた矢先の出来事だ。
残念だが、これはもう運命を受け入れるしかない。
僕は星野さんの出社最後の日、その帰り道を密かに待っていた。
「星野さん、お疲れ様」
僕は挨拶した。
「あら、風雪君じゃない!お疲れ様。今日で退職するの」
星野さんは笑顔で言った。
「結婚するんだってね。聞いたよ。おめでとう!いつまでもお幸せに…。これプレゼント!」
僕は隠していた花束を差し出した。
「わぁ!ありがとう!うん、幸せになるわ!」
星野さんは笑顔で受け取った。
僕は結婚式には呼ばれてない。
だから、これでお別れ。
星野さんの彼氏の顔も名前も知る事はない。
今日でひと区切りがついた。
お互いに明日から新しい道を踏み出す。



2/10/2026, 8:20:10 AM