こぼれたアイスクリーム
笑いが止まらなかった。
ジブリ映画「ハウルの動く城」をご存知だろうか?
荒れ地の魔女が階段を一歩一歩と上がる度に、姿が溶けて、身体中から汗が染み出てくるシーン。
あれと一緒だった。
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100円高いソフトクリームを食べた。
100円高いのには理由があって、コーン部分がラング・ド・シャでできている。
クリミアソフトというらしい。
ソフトクリームも北海道ミルクを使っているらしく、ちょっと高くてもそれを選んだ。
だって、2時間も運転をしたのだ。
琵琶湖の見える眺めのよいサービスエリアで残り3時間の運転のためにちょっとくらい贅沢をしたっていいじゃないか。
この贅沢は本当に贅沢だったのだろうか?
季節は真夏。太陽はギンギンと熱を持ってくる。
店員さんから手渡された瞬間からソフトクリームの輪郭がぼやけ始める。
おぉ、表面がじわっと溶け始めている。
あいにく、外だとギンギンの太陽に溶けるスピードが上がってしまう。涼しい車の中へと駆け込んだ。
車の中に入った途端、なんということだろう。
コーン代わりのラング・ド・シャの表面までソフトクリームが垂れ始める。
慌ててペロペロとラング・ド・シャをなめ始める。
何かがおかしい!
異変に家族の方が先に気がついた。
「これ、垂れてるんじゃない。
ラング・ド・シャから染み出てる。」
え?
よく観察すると、家族のいう通りだった。
ラング・ド・シャの表面の小さな穴からソフトクリームが液体となって染み出ている。
次から次から流れ出す。
笑いが止まらなかった。
これはあれだ。
ジブリ映画「ハウルの動く城」をご存知だろうか?
荒れ地の魔女が階段を一歩一歩と上がる度に、姿が溶けて、身体中から汗が染み出てくるシーン。
あれと一緒だった。
笑いが止まらなかった。
本当はゆっくりと北海道ミルクを味わいながら食べたかったが、溶けるスピードに負けじとあっという間にかぶり付いて食べきった。
本当に一瞬で食べて、サービスエリアを出発することになった。
琵琶湖の美しい風景をみる余裕もなかったとさ。
8/12/2025, 7:02:52 AM