「ふぁあふっ……うーん……どうしようかな……」
青年はソファに転がって、大きな欠伸をしつつ、唸りをあげていた。
「んもう、どうしたんですか!? 邪魔ですよ、座れません」
「ふぁい」
青年は身体を起こして、いつもの定位置に座り直す。恋人は両手に持っていたグラスをローテーブルに置いて、彼の隣に座った。
「なにを考えていたんですか?」
「明日の休み、どうしようかな〜って」
前々から約束していた。今度、休みが一緒になったらどこかに行こうと。
ふたりでデートに行きたいと言われていた。
「行きたいところはないんですか?」
「ある! たくさん!!」
パッと、勢いつけて彼女に振り向いた。
「バスケ、テニス、ボーリング、釣り、それに他にも……」
挙げればいくらでも出てくる。
付き合う前から遊んでいたけれど、新しいことだけじゃなく、同じことをやっても楽しい。
「なにしたい?」
「うーん……」
彼女はじっと青年を見つめる。彼女は彼女で思うところはあるようだった。
唐突に彼女は青年の両目の下をなぞる。
「明日は家でごろごろしましょう」
「へっ!?」
「家で、いちゃいちゃしたいです!」
頬を赤らめつつ、満面の笑顔でそう言う彼女。てへへと、照れ笑いをしながらソファから立ち上がって席を外す。
青年も耳が熱くなる。彼女の笑顔が愛らしかったからなのはもちろんなのだが……。
あれは……バレてるな。
青年が一番欲しいもの。
彼女とゆっくりとした、休みの時間。
おわり
お題:やりたいこと
6/10/2024, 12:54:06 PM