僕はいつも独りだった。
家族は僕が物心着いた頃には既にいなかった。
今の時代は子供が餓死するなんてことほとんどない。たとえ親がいなくとも児相に引き取ってもらえれば食べ物はある。けれど、僕は誰にも助けて貰えなかった。僕に対して向けられるのは嫌悪の眼差しだけだ。だから、彼女に向けられる好奇心の眼差しが僕にはとても新鮮に思えなおかつとても嬉しかった。ああ僕を嫌う目じゃない。僕が化け物かのように蔑む目じゃない。たったのそれだけで僕は彼女に落ちてしまった。
そんなこんなで彼女と共に生活をしてもうすぐで1年が経とうとしている。普通なら嬉しいはずだが僕の気持ちはそこまで嬉しくはなくむしろツラかった。
クリスマス
僕にとってクリスマスは憎い日だ。サンタは子供に笑顔と好きなものをくれるはずなのに僕の元には来なかった。いや来ていたかもしれないが与えてくれるのではなく奪っていってしまった。なぜなら、クリスマスは僕の誕生日だからだ。クリスマスは神様の子が生まれた神聖な日なのに僕にとっては最悪な人生が始まってしまった日。あの日から今日までずっと悪魔の子、サタンの生まれ変わり、なんていかにも不吉なものみたいに扱うか言葉を散々聞いてきた。けど今そんな言葉を言われても気にならないほど僕は幸せだ。だから、今日限りでこの最悪な日を終わらせる。だからぼくは玄関でお利口に座って彼女の帰りを今日も待つ。
12/26/2024, 8:36:52 AM