さぁそろそろ。
座り慣れたソファから立ち上がり、肩掛けのバッグを身につけて忘れ物がないか辺りを見回す。
『寒いから、気をつけてね。』
『うん、ありがとう。君もね。』
ずっと買い替えたかった靴を、いつものように履いたら君の方へ向き直して目を見つめる。
『『じゃあね…』』
『ふふ、かぶっちゃった』
……
『じゃあね』
ドアを開けると、もう日が傾いているのが見える。
ドアノブを君に任せて、手を振って、歩き出す。
次はいつ、会えるかな。
大好きなこの曲を聴きながら、夕日と共に違う場所へゆっくりと進む。
ドアノブを掴む手とは逆の手が、君の顔の方に向かっていく光景を何度も思い返しては、歩く。
歩き続ける。
歩き続けなきゃ…。
最後の言葉はあれで良かった。
12/4/2024, 8:21:16 AM