ヨルガオ(短編小説)

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初めて罵倒されたのは、忘れもしない8歳の頃だった。

「こんな絵しか描けないのか」

父さんが芸術家だったから小さい頃から絵を描かされてた。

その頃から父さんに認められることだけを目指してた。

父さん以外の誰に褒められても、嬉しくはなかった…

…はずなのに。

「こんな絵も描けるの?凄いね!」って。

似たような言葉なのに、全然違うんだ。

なんで彼女が言う言葉は、こんなにも僕を……。

…なんでもない。

とにかく、僕は今のままでいいって思えたんだ。

だからさ、父さん。

俺はこの家を出て行くよ。

もう父さんには縛られない、自分の絵を描いていく。


ー上手くいかなくたっていいー

8/9/2023, 11:13:26 AM