心の羅針盤
あの頃の私は、
頑固で、弱くて。
お前の優しさを、受け取れず。
自分の非を、認められず。
お前の言葉を無視して、
私はお前の元を去った。
心の羅針盤の針は、
ずっとお前を示していたのに、
私は気付かない振りをして、
目を閉じ、耳を塞ぎ、
心を閉ざしていたんだ。
月も登らぬ新月の夜。
後悔の波に耐えられず、
そっと溜息を吐き、
一人、空を眺める。
空の小さな煌めきに励まされ、
心の羅針盤と、
静かに向き合う。
羅針盤の針は、
昔と相変わらず、
お前の方向を指していた。
ずっと、分かっていた。
もう一度、
お前の隣に立ちたいと、
想い続けていた事。
心の羅針盤を、
壊してしまえれば。
こんなに苦しまずに、
済むのかも、知れない。
だが、私は、
心の羅針盤に従うことも、
心の羅針盤を壊すことも、
出来ずにいるんだ。
8/8/2025, 5:27:57 AM