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手のひらの宇宙

ある日、美しい白い肌に長い睫毛に黒曜石のような瞳をもつ若き純粋な僧侶が、「天竺に仏教の奥義が記された有難た〜い経典があるから取りに行け」というお告げを聴く「は、はい、この命にかえましても!」と即決断。純粋で聡明なキラキラキラ光る瞳を長い睫毛でふせて、皇帝陛下の前にまかり出た僧侶は、皇帝陛下から「三蔵法師」というありがたい名前を頂戴し旅は始まります。

三蔵法師は、はじまった旅の最初の五行山で山につぶされて動けない猿を見つけます。

「助けてくれぇ」息き切れ切れの猿は三蔵法師に助けを求めます。

三蔵法師が「助けて、やる代わりに、わたしのお供になり天竺までわたしを助けるか?」と聞くと。
猿は、「なんでもします、お供します」と答えた…気高く純粋無垢な僧侶三蔵法師のいきなりの交換条件にビックリ仰天!している間もなく三蔵法師は五行山に貼り付けてあった猿を封印するお釈迦様のお書きになられた札をベリっと剥がしたのでした。たちまち山をぶん投げて、今さっきまで、赤面で泣いていた猿は孫悟空に戻り自由の身になり三蔵法師のお供になったのでした。

同じようにして、怠惰な生活で肥えまくっていた豚の妖怪、猪八戒、川の下で寄生虫みたいな生活をしていた河童みたいな妖怪、沙悟浄もお供にして天竺を目指す旅が始まるのでした。

そして、ご紹介遅れましたが、私が一番好きだったキャラクター、時々人間になったりする、お馬ちゃん、三蔵法師を乗せる白馬白竜馬またの名を玉龍、日本の私たちがよく知るドラマ「西遊記」では藤村俊二さんが演じており飄々としたキャラクターであり愛敬のあるお馬ちゃんでしたが、原作はさほど好き役でもなさそうです。と言うようにこの天竺に経典取りに行く話めちゃくちゃ長いのです。行く先々で魑魅魍魎な怨みの変化化身のような、人の姿も心も無き妖怪どもと戦い旅を続けて行くのです。

とても長い長いを繰り返すお話をまとめた日本のドラマはとても面白かったですよね。何が、面白いかと言えばキャラクターたちにつきました。個人的には原作無視のお馬ちゃん時々人間に変わってる白馬の惚けたキャラが大好きでした。どこまでも、清く正しく美しいでも人間だから弱い三蔵法師を護る短気で最強の猿、孫悟空とのちょっと疑似恋愛ぽくなって来るあたりも、ドラマならではの見どころ。食いしん坊で怠惰な性格はもろ体形に出て分かり易い猪八戒、真面目だけど融通がきかず寄生して生きて来たから決断力が無くて暗いネガティブマインドをリアリストと勘違いしている沙悟浄。

まさに、個性バラバラの一行に次々に襲いかかるトラブル続きの旅。

岩から生まれた天涯孤独、短気で喧嘩早い悟空は大活躍で一行は長い長い旅と戦いの末に天竺に辿り着く訳ですが、その天竺ですがなんと、お釈迦様の手のひらを手首のところから中指の先まで歩いただけというものでした。

お釈迦様の高峰三枝子さんは最後有難たーい、微笑みを三蔵法師と一行に向けてご自分の手のひらの宇宙を覗き込まれるのですが、「そんなら、見てないで助けてやってよ!みんな何度も死ぬ目にあってんだよ!」と思ったもんだ(笑)

神も仏も見てるのが好きで、試すのはもっと好きつうお話。


手のひらの宇宙

死が近づくと人はじっと手のひらを見つめるそうだ、「手鏡現象」と言うらしい、自分の還るべき手のひらの宇宙にお釈迦様の顔を映しているのだろうか…。


令和7年1月18日

               心幸

1/18/2025, 12:28:28 PM