【好きじゃないのに】
「卒業おめでとう」
「ありがとう」
中学校の卒業式。
家は隣同士で、親も仲がいい。
物心がつく前から知っているらしい。
俺のほうが一つ上だが、変わらず仲はいい。
「また、先に行っちゃうんだね」
「しょうがないだろ」
「……頑張ってね、高校でも」
「おう」
手に持った卒業証書がズンと重くなる。
「……俺の第二ボタン、やるよ」
「え?」
「誰にも取られなかった、俺の第二ボタン」
「いいの?」
横顔がほんのり赤い。
力任せに第二ボタンを引きちぎって、渡した。
「……好きじゃないけど、もらってあげる。ありがとね」
fin.
3/26/2026, 10:01:13 AM