【波にさらわれた手紙】
「××島、助けて」
破られた紙に、赤黒い文字。
瓶に入っていた手紙にはそう書かれていた。
××島。
この浜辺にもっとも近い無人島。
近いといっても泳いで渡れる距離ではない。
船の往来もないと聞く。
「どうしたの?」
浜辺にいた恋人が聞いてくる。
俺はなんでもないと笑った。
そして手に持ったものを海に投げる。
波にさらわれた手紙は、形を無くす。
運が良かった。
あいつの手紙を拾えたのだから。
せっかく無人島に閉じ込めたのに。
助かったら意味がない。
生きているかぎり、反省し続けろ。
お前の罪を。
8/2/2025, 9:47:34 PM