夏の日差しを受ける堤防の上、私たちは空を眺めていた。聞こえるのは蝉の声と小さな波音。
「暑いね……」
私の言葉に、彼女はこくん、と頷く。
「このままじゃラムネも炭酸抜けちゃいそうだし……」
またもや、こくんと頷く彼女。
「……イルカが……!」
その言葉に、彼女はぐん、と首を私の視線の先に向ける。
「……もういない……」
しょぼん、と表情を変える彼女。
「……あんた、あんまり喋らないけど本当に感情表現が分かりやすいよね」
そう言うと、彼女は首を傾げて『何が?』と言うような顔をする。それに、私は思わず笑みを浮かべる。
手元には、いつの間にか気の抜けてぬるくなったラムネ。そして隣には、無口な君。その間を、ふっと風が通り過ぎていった。
8/4/2025, 3:22:46 AM