『神様へ』
忘れられたらどれほど楽か。
狂えてしまえたらどれほど楽か。
それなのに私はいつも、きちんと覚えている。あの日の光の角度も、あなたの声の湿度も、自分がどれだけみじめだったかも。狂うことすら許されないように、意識はいつまでも澄んだままで、私を見ている。
神様、あなたはどうしてこんなふうに作ったのですか。忘れる力を、壊れる自由を、どうして私には渡してくれなかったのですか。
痛みを知るからこそ美しいものがわかる、などという言葉は知っています。でもそれはあまりにも、遠いところからの慰めに聞こえる。今夜の私には届かない。
ただ、少しだけ眠れたらいい。少しだけ、全部を手放せたらいい。それだけを祈っています。聞こえているかどうかも、わからないけれど。
4/15/2026, 9:18:20 AM