語り部シルヴァ

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『君と歩いた道』

大通りから路地裏に入って道なりに進む。
あまり知られていない近道。
使いたく無かったが雨が降って傘を忘れたこの状況じゃやむを得なかった。

屋根が雨から少し守ってくれるから上がった息を整えながら速度を落とす。この路地裏は道を挟んで家が背中合わせにあって、雨を避けるにはうってつけだ。

ただ太陽が出てないのもあってかいつもより暗く不気味な雰囲気が漂っている。
こんな道だったかな...あんまり一人で通らなかったのもあるが前までのこの道のイメージが無い。

いつだってこの道を通る時は君と歩いた。
隣に並んで歩くには丁度いい道幅。
恥ずかしがり屋な二人だったからこそ人が通らないここは手を繋ぐにはうってつけな場所。

君と歩いたからキラキラしていた道も今じゃ一番通りたくない道に様変わり。

もう息も整えた。さっさと通り抜けよう。
勢いよく走り出し路地裏から抜けて急いで家へと向かった。

語り部シルヴァ

6/8/2025, 10:15:40 AM