少しだけ近づいて、そっと離れての繰り返し。
そんな子供みたいな関係のままで傍に居続けたから、まだ僕らは何一つとして始まってすらいなかったのかもしれない。
鼓動の高鳴りも、沈む痛みも、なにもかも。
すべてが消えて失くなる未来を知った夜は、妙に落ち着いた思考を回す頭から「もったいないことをしてしまったなあ」と呟いていた。
けれど“こう”なったら、しっかり伝えておかなくてはならないと心が強く急かされ、やっと駆け出すことができた。
素直に言えるか分からぬまま、今さらと困らせても、遅すぎと怒られてもいいから動けと。
残された猶予も、指で数えられる時間だけ。
また君と、終わりの先を迎えるために。
【明日世界が終わるなら】
5/7/2024, 7:40:02 AM