寒さが身に染みて
"ぱちっぱちっ"
窓は真っ白に染まる
暖炉のおかげでこの部屋は外とはまるで隔絶された空間のように暖かった
森の中のこじんまりとした古屋
しかし特殊なコーティングを施してあるので外の寒さが伝わることはない
人が来ることはない辺境の地である
「あぁ。薪がないな」
俺は暖炉にくべる薪がもう底をつきそうなのに気づく
「昨日のうちにもっと切っておくべきだったかぁ」
暖炉の前の椅子に腰掛けている俺はしばらくぼーっと暖炉の火を眺める
「はぁ。行くかぁ」
俺は外へと出ることを決心した
特殊な加工がされた毛皮のコートを羽織る
そして窓の白を擦る
「今日も寒そうな夜だな。朝が恋しいよ」
玄関までゆっくりと歩く
「俺の魔術じゃあ、暖はとれないからなぁ」
そう皮肉を言って扉を開ける
外に出ると真っ暗な夜が広がる
永遠に続く夜が広がる
「はぁ。寒いなぁ」
家の脇、薪の置かれている場所まで行く
「おっと。危ない」
俺は歩く板の上で足を滑らせるところだった
普通の地面なんて歩けたもんじゃない
底冷えで大変だ
「やらなきゃいけねぇーかぁ」
薪置場の薪が枯渇していることに気づく
持ってきた原木を薪のかたちに切って置かないといけない
今置いてある分だけで今日一日の分はあるだろうが、明日以降のことを考えると難しい
「明日のことは明日考えればいいかぁ」
その時だった
俺の家や周りの森が照らされた
俺は後ろに振り向く
少し離れた街が薄っすら見える
そこには古くに見覚えのある太陽があった
何十年ぶりに俺は太陽に照らされた
そしてその太陽は一瞬の間に空に朝と昼と夕方を届けて消えていってしまった
「懐かしいなぁ。切るか、薪」
1/11/2026, 10:24:01 PM