山を越える。
腹の虫が収まらないようだ。
何かを好きになっていい。
何かを嫌いになっていい。
そういう権利は与えられてこなかった。
誰のせいにすればいいのだろうか。
やり場のない感情の消費の仕方は、誰に聞けばいいのでしょうか。
検索バーに入力しても、的外れな答え。
カウンセリングを受けても、当たり障りのない言葉だけが並べられていく。
耳触りの良いその言葉が、呼出煙のように俺の肺に沈澱していく。
まあ、どうせ他人事だから
巻き込まれないようにも
踏み躙らないためにも
こんなことしか言えないのだろう
相手の立場も知ったつもりで、どうにか腑に落とす。
どうしてなのだろうか。
結局、頼ったところで、どんどん不信が色濃くなるだけなのに。
結局、救ってくれる誰かを待ち続けるなんてことはしていられなくて
結局、時の流れは無惨にも待ってはくれなくて
結局、自分のことは自分で救うしかないのに。
自分自身何を思っているのかすら掴めない。
ズレを細かく拾い上げれば、その少しの摩擦が重なり合う。それに耐え得るほどの耐久性は、俺にはないのだと思い知る。
その度に、俺はまた一つ、二つと
できなくなることが増えていく
恐れてやらなくなる。
もう、どうだっていいじゃないか。
疲れた体はそう言う。
なんとまあ、不条理。
胸の底から這い上がる竜を捕まえて、捌く。
刺身で食べれば、その臭みに嗚咽が出た。
煩わしい声。
恐怖心を掻き立てる匂い。
押し込んだはずの記憶を掠めていく、そういう五感が苦痛で
どんどん使わなくなっていく。
そうして鈍くなって燻んだ景色で、
俺はまた消費するだけの生を過ごす。
川に流れる。
5/8/2026, 2:39:00 AM