NoName

Open App

 いつも行く大型書店で、あっと思う。本を手に佇む人が君によく似ていた。背恰好や、カバンを斜めに掛けているところ、そして、分厚い本を軽々と手にしているように見えるところなんか、そっくりだった。

 よくこの書店で待ち合わせをした。お互い本を探すのに夢中になって、待ち合わせ時間が大幅に過ぎたこともあった。興味のある本は違うけれど、その話を聞くのも楽しみだった。

 君がいなくなってからしばらくは、この書店に行けなくなった。あまりにも君の面影が残り過ぎていたから。この頃やっと、思い出さなくなっていたのだけど。君は今、何をしているのだろう。


「君は今」

2/27/2026, 9:01:04 AM