unknown

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ことり、と音を立てて
夜がカップに沈みました
混ぜるひとはいないのに
くるくる、夢だけが渦を巻くのです

気づけばわたしは逆さまに、
天井を歩いておりました
重力なんて気まぐれで
あなたの方へ落ちてゆくばかり

白うさぎは何も言わずに通り過ぎ、
チェシャ猫は輪郭だけ残して笑う
名前のない風が吹いて
わたしの鼓動だけが、やけに正しい

ねえ
ここが夢でも構わないのです
目を閉じるたび、世界はほどけて
あなたの気配だけが結び直されるから

砂糖菓子の星を噛めば
ほろりと夜がこぼれます
その欠片をひとつ拾って
そっと、あなたにあげたい

言葉はすぐに裏返り
意味は蝶のように逃げてゆくけれど
この想いだけは捕まえられる
指先に、確かに触れている

誰よりもずっと
曖昧で、確かで、やさしくて
消えそうで、消えないまま
あなたへと続いている

もしも明日がほどけても
わたしがわたしでなくなっても
この胸の奥の静かな灯りは

誰よりもずっと、あなたを選ぶのです

4/9/2026, 11:29:55 PM