「ねぇねぇもうすぐだね」
そう言った君はニコニコしていて
眉根を寄せる。
なにが、そう言えば決まってんじゃんと。
今月は2月だよ
イベントあるでしょ!
なんて言われてため息をつく。
友人は何かしらイベントが好きらしい。
「…今年は何作るの」
一応聞いてみればパッと花が開いたように
笑ってガトーショコラと答えた。
またずいぶん手のこったものを。
毎回毎回作っては渡して
楽しんでいる。
「そっちは?なんも作んないの?」
「誰もがみんなチョコが好きなわけじゃないんだよ」
「え、うそチョコ駄目なの可哀想」
友人に悪意は無かったんだろう。
純粋にチョコが好きだから出た言葉だったのかもしれない。
それでも可哀想という一言は何故かモヤッとした。
誰もがみんなこのイベントを待ち遠しく感じてる訳じゃない。無くてもいいと思ってる人さえいる。
要するに気持ちを伝えるのにちょうどいいイベントなんだろう。
「…別にチョコじゃなくても変わりのものあげてるから」
ちょっとの反論に友人は瞬きした後、確かに…その発想は無かったやと呟き両手を胸の前で合わせてごめんと謝ってきた。
こういうところが嫌いになれない理由なんだよね。
友人は悪いと思ったら素直に謝れる質なのだ。
いいよ、ムキになったごめんと自分も謝れば仲直り。まぁ喧嘩だったわけじゃないが。
誰もがみんな頑張って
気持ちを伝えるために動いてる。
誰もがみんな幸せを掴もうとしている。
それなのに自分はその誰もがから少し外れてる気がして。みんながみんなじゃないんだよと伝えたかったのかもしれない。
頑張ってないわけじゃない。
幸せだってほしい。
でも世間の一般論を押し付けないで欲しいと
そう思った。
流行に乗れなくたって
みんながやってることをやってないからって
こうすべきだなんて決めつけないで。
「…和菓子作るからさ、手伝ってくんない?」
「和菓子!いいじゃん!やろやろ!」
甘さ控えめ出来るかな
そう控えめに言えば友人は出来る出来る!
砂糖の量を調節しよ!
なんて腕まくりをしながら嬉々として笑った。
そういう道だってあるから。
それを受け入れてくれる人がいるから。
自分はこの世界でも生きていける。
否定する人生より
それもいいよね、なんて肯定する人生のが
楽しいかなって
そう思うんだ。
お題【誰もがみんな】
2/10/2026, 1:00:57 PM