【 No.2 誇らしさ 】
私は自分に誇りを持てない、弱い人間。
弱い人間は、強い人間に喰われて、どんどん呑み込まれ、結局嫌な思いをする。
でも弱い自分が悪いから、と、強い人間を責められない。
「弱いから自信ない?」
そう聞かれたことがあった。
私の答えはもちろん、一切の迷いのない「はい」だ。
「じゃあ、いいこと教えてあげる。弱い人間は強い人間に
喰われる辛さを知ってるから、優しくできるんだよ。」
そんな綺麗事が刺さるはずもなかった。
けど、彼はきっとそれを分かってた。
「覚えてるかな、あの時のこと。」
夕焼け色に染った空に、独り言葉を投げる。
あの綺麗事は刺さらなかったけど、こんな自分に声をかけて励まそうとしてくれた彼の優しさは、温かかった。
「……好きだな、そーいうとこが。」
優しく温かい貴方の事は誇らしく思ってるよ。
そんな彼に選んで貰えた今の自分のこともね。
8/16/2024, 2:10:15 PM