音を立てて崩れた夢想の果てに
手を伸ばしても灰すら残らず
失くした愛を紡ぐ詩も、焼けた喉では唄えない
私の声をここに置いていく
遠ざかる足音ではなく、留まる旋律が慰めとなるように
こんなにも、こんなにも
燃え盛るような心を捨てて、私はまだ生きて行く
裏切りは鼻歌のように
小石を蹴飛ばす童のように
蜘蛛の子を散らす稲光
騒めく草原と蝉時雨
咽せ返るほどの境界にて
断ち切れない未練の重石を、私はまだ担いで歩く
振り返ってはならない
まだ、振り返ってはならない
こんなにも、燃え上がるように愛したけれど
共に行くことは出来ない
私はまだ生きて行かねばならないのだから
ここでお別れ
雨はまだ止まないけれど、洞を抜けて
爛れた告白に背を押され
本当にお別れ
空に滲む雲が見える
形を無くして燃え尽きるまで、ずっと愛していくから
私の声をここに置いていく
あなたを置いて、生きて行く
(どこへ行こう)
4/23/2025, 11:58:00 AM