【仲間】 無機質な銀色のドックタグの表面を指先でなぞる。俺たちの関係はただの士官学校の同期で腐れ縁。仲間意識なんてお優しいものは互いに持っていなかった。だけどそれでも。 大丈夫だよと明るく笑ったお前の顔が、脳裏にこびりついて離れない。帰ってこいと言ったのに。約束したのに。なのに何で。「っ、この大馬鹿野郎……!」 手のひらの中に握りしめたドックタグの冷たさが、やけに皮膚に残る。じわりと滲んだ視界には気が付かなかったフリをした。
12/11/2023, 4:08:23 AM