DEENのアルバム良いよ🩷
遠く…
空を見上げると悠久まで続く蒼い蒼い空と地平線の先が見えない広い広い海が広がっていた。
めいっぱい両手を伸ばしても届く事がない世界の中でめいっぱいまで広げた手のひらはあまりにも小さく見えた。
周りには何もない。
何処までも青い世界の中心に立つには自分はあまりにもちっぽけで矮小な気がした。
父も母も亡くして程なく、何もかも無くした気がした。
生きる意味も生きている事を喜ぶ人も亡くして存在している意味を見失った先で父が好きだった海にいる。
広い背中だったな。
温かい腕の中だったな。
生まれてきて当たり前だった世界のありがたさに気がついた時、その手はこの大空のように手が届く事がない程に遠くに行ってしまうんだ。
ここに来たのは一つの宣誓式のためだった。
釣りが好きだったこの思い出の地でかつての記憶の中の両親の優しさに触れたかった。
いつだって、喜びも悲しみも大きな後ろ姿に護られていたから。今だからこそ心の底から言える。ありがとう、って。
海風に髪が揺れる。
潮風の薫りを胸いっぱいに吸い込んだ。
青い青い暖かな世界の中心で小さな僕の
小さな世界を紡ぐ夢を大きな両親に語りかける。
貴方方が安らかでありますように。
僕のこの小さな祈りが届きますように。
僕はここでいま生きている。
遠い遠いあの青の向こうに届くようにと
大きく大きく両手を振って力一杯風を感じた。
2/9/2025, 10:47:26 AM