愛を叫ぶ
⚠同性愛の表現が含まれています!⚠
波打ち際
はるか真下に見える白波
心臓が痛いぐらいに打っている
怖いのに
何故か楽しくなってきた。
「ね、どうする?やっぱやめる?」
隣の彼はそう言ってこちらを見やる
「なんでだよ…ここまで来て、ここまで期待させといてやっぱなしとかマジで趣味悪ぃからな。」
今は冬の真っ只中
繋いでいる手は
もう開ききることが出来ないくらいに凍えてる
足を一歩前に出す。
彼は慌てて俺を引き戻す。
「……っ待ってよ、一緒。」
不安そうに眉をひそめ俺の目を覗き込む
「ん、当たり前。」
同仕様もなく愛おしい。
せめて俺が女だったらと
アイツにこういう感情が芽生えなければと
「…………ね、だいすき」
「……うん」
俺は意気地なしだ
「一緒。一緒だよ。ずっと。」
「そうだな。ずっとだ。」
「………………だいすき、だよ。」
ふと、腕についた時計を見る
「ん、そろそろだな」
「そっか…」
俺は今になっても
この気持ちを言葉にするのを憚ってしまう
「あんね、すごく、いま、しあわせだよ。」
少し潤んだ目で
こちらをじぃっと見つめてくる
「…ん、おれ、も」
はっきりと言葉に出来ない
ピピピピッ
事前に設定していたアラームがなる
「……んへ、いざとなったら、ちょっと怖いや。」
今まで目を背けていた真下に目を向ける。
「せーのだよ、一緒にいくんだから」
手を、痛いぐらいに握り込む
「「せーのっ!」」
落ちていく。
今までにないくらい
あいつの顔は
キラキラしてた
5/12/2023, 4:02:12 AM